Vehicle Engineerは、運転が上手い
顧客を案内すると、要望の試験車で、コースを案内する。運転するのは、研究所のVehicle Engineer。彼らは、ニュルブルクリンクの走行免許を持つ。当然、運転が上手い。ほとんどが、他の自動車メーカでモータースポーツの開発を担当してきた経験を持つ。
高学歴のエンジニアのチームである。
ある顧客を案内してきた時のこと。顧客から、『この寒地基地で一番運転が上手い人に運転して欲しい』とのリクエスト。同僚のVehicle Engineering Managerに依頼した。
氷上の覇者に出逢う!
当方も初めての寡黙な若者だった。氷上のハンドリングコースに入ると、評価用運転手順で走った。すると、顧客からのリクエスト。
『このコースであなたが出せる最高速度で走ってください。』
彼は、頷き、クルマを加速していく。当方の経験から、ともかく無茶苦茶速いのだ。
当方が思っているより、素早いシフト操作・速いステアリング回し・アクセル・ブレーキ操作。
フロントガラスを通して、雪の壁が横に飛んでいく。
クルマが横だけに動いているのではなく、前に加速していく。氷の上のはずなのに、確実にブレーキがかかり、急減速する。クルマは、こんな不思議な動きをするのか? 今までの経験したことのない体験であった。

顧客も大満足。その後、同じクルマで同じコースを走った顧客。
雪壁に突き刺さり、レスキューされ、当方がチーム全員にビールを奢る羽目になったのは言うまでもない。
顧客を送った翌日。彼に聞いてみた。
『クルマの運転が好きなんですか?』
『いや、特に好きではない。仕事だから。本業は車両整備として、会社と契約しています。』
彼の運転で氷上を走っている(当方は後部座席から撮影)