自動車と駆動系の時系列をまとめる

必要は発明の母…自動車だって同じ

『デファレンシャル』(差動装置。以降は、デフと称す)は、偉大な発明である。自動車の三大発明の一つとして語り継がれる。他には、『空気入りタイヤ』と『気化器』である。他の2つは、門外漢なので、『デフ』について話題をつないでいく。

スムーズな旋回のために必要
 駆動輪は、タイヤ外輪から路面に駆動力を伝達し、
 自動車を進める。
 直進のときは、左右輪は同じ回転数で進んでいくので、
 直進性は問題ない。
 問題となるのは、旋回するときである。
 旋回内輪は遅く旋回外輪は早く回さないと車は旋回
 半径に沿って進まない。
 左右輪の間にデフがあれば、機械的に差動を調整できる。
 駆動輪をもたない馬車には問題はなかった。

デフの機能は、理解するのが意外に難しい
 上記の文章を読んだだけで理解できた読者がいたら
 素晴らしい。当方も完全に理解するのに時間がかかった。
 でも、理解できたおかげで、差動制限装置やセンターデフ
 機構の変異系など、多くのアイデアが湧いて実現できた。
 駆動系を生業とするなら、基本中の基本の機構であると
 断言する。
 

DIFF機構

デフ機構(ピニオンとピニオンシャフト、デフは無い状態)

『デフ』のなかった自動車は?…

ガソリン内燃機関搭載の自動車が出現する前、蒸気機関の自動車が都市部を走り出していた。
すさまじい騒音で走る姿は、人々から揶揄されていて、好感をもたれていなかったようだ。
● 馬なし馬車 Horseless Carriage 
  → すさまじい音で馬を驚かせ、黒煙をあげて空を汚くする蒸気自動車
● 赤旗法:赤い旗を持った徒歩による先導者を義務付けた
英国の公道における自動車の運用方法について定めた法律である。歩行者や馬車の安全に配慮するという名目であった。
  実際は馬車関連業者の権益を保護するために自動車を規制しようとした法律である。

『デフ』を付けるまえの自動車はどうやって旋回したのか?…

『デフ』が発明されて、車載されるようになるまでは、駆動車軸にはデフは無かった。車軸は一本棒。旋回時に差動できないので、特に交差点を直角に曲がる事は苦手となる。さて、どうやって、交差点を直角に曲がったのでしょうか?

蒸気自動車の初期

(1) 車輪を前後左右にゆすって
  路面との間で滑らせる。
(2) 車輪に摩擦クラッチをつける
(3) 駆動輪のハブ部に手動式の

  クラッチを設け、ボイラーマン
  が下車してクラッチを切って
  から旋回

蒸気自動車のデフ装置

蒸気自動車のデフ装置

BEVのDIFF CASE ASSY

BEVのDIFF CASE ASSY

デフギヤの起源と歴史

– 1700年 フランスの時計メーカ 歯車の逆転や変速比を変える装置として発明
– 1828年 ぺクール(フランスの時計職人)が、デフを使った蒸気自動車を設計 
➡ 注目されず!
– 1831年 ロバーツ(英国) 駆動軸にデフを使うことを再発見、蒸気自動車用に設計し装着した
       
➡ 注目され 徐々に使われ出す
 ~ 現在に続く