冬の自動車試験は、北海道に決まり
毎年12月から3月まで、日本の自動車会社と部品会社のいくつかが、北海道で寒地試験をしている。以前は、『寒冷地試験』と呼称していたが、なんでも、『差別用語?』とかで、『寒地試験』に改められたと聞いた。 でも、ネットで調べても、『寒冷地試験』で通用している。
各社とも、冬の試験のため独自の試験場を持っている。最初の自動車会社は、1975年頃は、寒地試験基地を北の地に置いて、毎年、試験していた。某温泉地であった。数回、参加したことがあった。この時代は、車線ナンバーを取得すれば、試験車であっても、公道を走ることができた。秘匿車は、夜間走行で試験をするのが常である。試験車間は、無線通話。たまに、他社の走行チームからの無線が混じり、緊張することもあった。懐かしい時代である。

初めての寒地試験へのアプローチ
転職後、欧州研究所の車両実験チームのボスより、日本においても、地域独自の寒地試験を立案し実行するよう指示が来た。当時、研究所のある欧州地区でも、アメリカ地区でも地域の寒地試験を実施運営していた。
寒地試験場所の調査のため、北海道内をクルマで巡回した。 会社からナンバー付き試験車を陸送し、メンバーは羽田空港から千歳空港へ。小樽で坂路発進試験する場所を調査し、帯広の顧客試験場へ挨拶に出向き、稚内方面に向かった。昔の会社の寒地試験場が残っているのか見に行った。宿泊地は、昔の会社で使っているホテルを予約した。

懐かしい。やはり、育ててくれた会社はありがたい。
ホテルの食堂でチームで夕食を取っていた時、
『やっぱり、お前か!駐車場に〇〇ナンバーのクルマが停まっていたので、怪しいと思っていたんだ!』
昔、お世話になった車両実験部の先輩だった。懐かしい。
翌朝、増設された基地を見せてくれた。帯広試験場内では確認できない項目もあるそうだ。
それらの確認ついては、道北の氷雪路が最適だそうだ。
『道がクルマを鍛える』 どこかの偉いさんが言ってたよなあ!

冬の試験場を借りる
先輩にお礼と別れの挨拶をして、道北から南下。大手自動車会社の試験場のある『サフォークの町』へ。ここに、冬季レンタル試験場がある。
実は、当社の試験場も貸し出している。当社から見て、お客様である某タイヤメーカ様からの紹介で、お借りすることができていた。事務所に挨拶に行き、コースを見せていただく。いくつか、条件を提示し、ディスカッションし、正式にお借りする事を現地で決定し、契約を取り交わした。


試験場を視察していたら、夕方になってしまい、薄暗く、かつ、寒くなってきた。足の裏から凍えてくる。事務所の所長に挨拶をして、来年からの宿泊拠点になる旭川のビジネスホテルへ移動する。
滞在場所は大事です…
片側一車線の高速道路でつながっているので便利である。夜は、宿泊時の快適性の調査である。ホテルの部屋は暑く真夏のようだ。街へ出ると凍れる(しばれる)。ジンギスカン鍋・ザンキ・もつ鍋などなど、飲食には困らない。でも、マイナス20℃が通常なのは、閉口したが…。 翌日、試験路の下見をするため、札幌から小樽へ回った。

