沼地が寒地試験場に変身
北極圏の緯度に近い沼地の多い村が冬の間、寒地試験場に変化する。村は、冬の間だけ人口が2倍になる。
初めて、出張する時の事、『あれっ?』と思ったことがあった。欧州の研究所の試験課長から、宿泊情報を送ってもらった。ホテル名を確認すると『Private House』とあった。
どんな『Hotel』かな?
ホテルのインフォメーションの場所。村のメインストリート、指示された住所の2階への狭い階段を上がると、受付がある。訪問目的を伝えると、大きなノートを開けて『あなたは、ここの102』『残りの人たちは、ここの202。サインして』 ノートの指定された行の右側にサインすると、鍵を2つ渡された。
『そうそう、朝食会場は、あなたの建物の隣の建物の3階にある。朝食は、6時半から8時の間にお願いね!』
『Private House』とは?


調べたら、当方が借りたホテルの部屋は、冬季以外は、村の人が住んでいるアパートの部屋であった。冬の間だけ人口が増える村。寒地試験関係者が冬の期間だけ宿泊するためにホテルを作るのは無駄である。そこで、村は考えた。
冬の間だけ、村民から部屋や家を借り受け、寒地試験関係者へ貸し出す。上手い手である。では、村民は冬の間、どうしているのかな? 聞くと、『山奥のロッジを借りて生活している』とか『好きなアフリカに冬の間、滞在する』
『Private House』とは、個人の家のこと。単語の意味、そのものであった。
この物語の始まりは…
始まりは、凍った沼地でセスナ機を整備している人に欧州の自動車会社の試験担当者が声を掛けたことが、この物語の始まりである。
『この沼は、セスナでも発着できるほど、分厚い氷が張るのですか?』
『ここは、沼で水深が浅いのですから、ブルドーザーで滑走路を整備して、発着しているのです。』

