北海道で公道駆動系入力計測をしたのは…
転職先で発足した冬の駆動系試験。準備の翌年から本格稼働した。旭川市内のホテルを定宿とし、レンタル試験場での試験が始まった。
旭川から高速道路で通勤、夕方、日が暮れてから戻る毎日。週末の休日は、十勝岳温泉で疲れを癒し、美瑛でラーメンを食べて、美瑛の丘で写真撮影するのが楽しみであった。
前年の準備段階では、公道走行が主体であった。転職先は、世界各地の路面入力(軸トルク・軸回転数・ジョイント角度)を計測コレクションしていた。この寒地試験では、4WDシステムの走行データをコレクションしていた。面白いところでは、小樽の坂路の登降坂(日本の中でも20%勾配がある数少ない場所)であるが、『美瑛地区』も、登降坂が多く『4輪の駆動系入力を収集するのに最適な地域』であった。

美瑛は丘に積もった雪原が綺麗…
冬の駆動系試験で訪れていた頃は、人も車もまばら。除雪されている道路も限られていた。データ計測では、ドライバーと計測員が乗車なので、当方は、雪原で待っていた。
待っている間、カメラで風景を撮っていた。頬を指す寒風吹きすさぶ中、シャッターを押していた。 雪の撮影設定なんて、知らない頃だった。覗いていたフェンダーの印象とは異なり、出来上がりは暗くなったり。白黒写真っぽくなったり。
でも、『美瑛の丘』の景色は、当方の心を捉えて離さなかった。美瑛の丘、雪がなければ放牧場。開拓時代に、自分の牧場の境目を明確にするために『木』を植えたとのこと。
旭川飛行場に着陸するときに、丸窓に広がる『防雪林』と異なり、『雪原にポツンと佇む一本の木』は、何故か心を揺さぶる不思議な佇まいが好きである。

美瑛を写して見つけた『新・親子の木』(個人命名)
何か、心惹かれた…
美瑛地区のすべての有名な木は、撮影したはずである。今回、ブログを始めるにあたり、画像をさがしたが、1枚しか見つけられなかった。『新・親子の木』である。他のデータは、見つからない。『あ~ぁ、また、美瑛に行かなければ…』
今の『美瑛の丘』は、渋滞だって? 信じられない!
最近の美瑛は、海外観光客人気だと聞く。流行り言葉で言い換えると『オーバーツーリズム』とのこと。
15年前の記憶しかない当方にとっては、とてもとても想像できないのである。
土曜日の朝、ホテルの朝食会場で、メンバと会い…『今日、どうする???』
当方は決めていた。『十勝岳温泉、美瑛でラーメン』
休みの日、なぜか、『美瑛』に行く…
最近の美瑛は、海外観光客人気だと聞く。流行り言葉で言い換えると『オーバーツーリズム』とのこと。15年前の記憶しかない当方にとっては、とてもとても想像できないのである。
休日となる土曜日の朝、ホテルの朝食会場で、メンバと会い…『今日、どうする???』で始まる。
当方は決めていた。『十勝岳温泉、美瑛でラーメン』
準備期間の初年度は、美瑛で走行データコレクションだったので、平日でも『美瑛地区』で仕事をしていた。計測時間は、車外で待つので、スタート地点を『セブンスターの木』駐車場にしていた。 大きな『セブンスターの木』は、冬場は枯葉が残り、月の夜は、妖艶な姿であった。 少し離れたところに、『若い白樺の木』が数十本並んでいた。老木と若い木々。 若い木々が居る箇所は除雪がされていなくて、深い雪原のなかに佇んでいた。 試験車が計測をしている間中、雪原に置かれた当方に与えられたのは、晴れている美瑛の日中は、白い雪原と木、そして、吹き抜ける風と青空。そして、静けさ…、そして、風がやんだ時に感じる『温かい太陽の光と張りつめた青白い氷の空気感』であった。 人も犬も猫も居ない…当方だけ?? 『北海道は、でっかいど~!』
美瑛の変わらない魅力って?
一人になると、目に入る景色を見回す…。
周りに人が居ない空間。心が開放的になり、
『これぞ、北海道の魅力だ!』と感じた。
そう、晴れていれば、遠くに見える『十勝岳連峰』と手前の雪原が青空と対比して美しく心に響いてくる。
でも、鉛色の雪空で吹雪いていると、
『目をつぶって、頬にあたる冷たい雪粒を数えながら…早く、戻ってきてくれ~』と、祈る自分が居る。
住んでいる方々が、当たり前のように感じる空気感とは異なるであろうが…。
こんな空間だったと記憶しているのに、最近のニュースで、
『オーバーツーリズムが原因?』
『白樺の木を数十本伐採! 日が遮られて、農作物の収穫が減った。 美瑛町、苦肉の判断!』
当方は思う。農業を生業としている人の判断が最優先である!

永続する魅力とは? 優先すべきは、 観光? 日々の生活?
当方が冬の駆動系試験で北海道を訪問していた時、観光客/のトラブルで『哲学の木』が伐採された。
土地の所有者が観光客のトラブルに嫌気がさして伐採してしまったとのこと。
その時の当方の気持ちを見てみると『木も命がある。なんと、理不尽なことを!』と考えていた。
でも、今は、『所有者の判断が正しかった』と思っている。
最近のブームは、『一時的な映えスポット』で画像をとり、SNSにアップする。『いいね!』をもらい自己満足する。
一次的なブームかもしれない。 ネクタイの幅が繰り返すのと似ている。
『人が集まる! ツーリズムだ!』 観光だ! いつから、日本は、後退したのか?
自分たちは、世界トップの技術立国として世界を牽引してきた世代である。日本の世界での位置がトップクラスだと、今でも信じている世代である。 現実は、アジアの中でも下の位置。
じゃ~今後10年間、観光立国を推奨する政府は、美瑛町に保証できるのか? 保証は、永遠に続かないのでは?
少なくとも、15年前の同じ冬の時期、『冬の美瑛の丘』を訪れていたのは、風景マニアや写真好き。一面の雪原は、ほぼ『白色』であった。 京都や岐阜の白川郷のように計画的に観光化している場所でも『オーバーツーリズム問題』である。ましてや、隠れた観光スポットであった美瑛の丘は、急激な変化に対応できるはずが無い。
『何をどうするか?』については、美瑛の住民やその土地からの生計を立てている人々が決めることであり、SNSやネット空間で『SNS映えする木の伐採を非難する』のは、お門違いであろう。
最適解は、美瑛町と住民が決めることである。 どんなに、反対しても、地元に定着している住民の決定もどうこうと言うべきではない。当方は、そう思う。
『美瑛町が決めた事が正しい』
次に、『美瑛の丘』を訪れたとき、目に入ってきた景色が『美瑛の丘』である! 間違いない!
自分の本音としては、『静かにしておいて欲しい。』
目を閉じると、『晴れている美瑛の丘』が脳裏に浮かぶ。
白い雪原と ポツンと佇む木、そして、吹き抜ける風と青空。そして、静けさ…、
風がやんだ時に感じる『温かい太陽の光と張りつめた青白い氷の空気感』
15年前に『美瑛の丘』からいただいた贈り物の数々。
もう、訪れない方が良いかもしれない。